2頭のメス ライオンの話

 

 



ある動物園に、
2頭のメス ライオンが暮らしていました。


その2頭は いつでもどんな時でも一緒で、

太陽が昇るのも、太陽が沈むのも、
どんな景色を見るときも

その2頭は 必ず、
肩を寄せ合うようにして 隣に座っていました。


そんなある日、

急遽 1頭のライオンが

別の施設へ移動することが決まり、

園内が 寝静まった夜

1頭のライオンは

いつもの檻の中から 忽然と 姿を消しました。


朝になって、
いつものように 目を覚ました
もう1頭のライオンは、

いつも側にいた 相方のライオンを探します。


檻の中を 何度も何度も、くまなく探し
声が出なくなるほどまで 相方の名前を呼び続けました。


でも、


別の場所に移動された ライオンが

そこに居るはずもなく、

 

残されたライオンは、

居なくなってしまったことを 後から知らされます。

 

そして

全てを知ったライオンの心に残ったのは、

悲しみと 孤独感 だけでした。


心にポッカリ空いてしまったその穴は、

残されてしまったライオンの 心だけでなく、
身体までをも 蝕みます。


そして、

残されたライオンの瞳に
次々と浮き出してくる 大粒の涙は、

かつて 相方が座っていたお気に入りの場所に、

相方のかすかな残像を 映し出していました。